ネットのハンコ屋さんを時々見せていただいてるのですが、レビュー(感想)に
「新品のハンコを買ったのに(印面に)朱肉がついてて中古みたいでイヤだった」
というお客様の声がありました。
いやあ、びっくりしました。ハンコ屋だと当然のことだと思っていたのですが・・・、改めて考えてみたら「そりゃそうかもねえ」・・・でした。
(仕立てたスーツとかにはシワはついてませんもんね)
ハンコはいったん彫り上げてから、必ず試しに捺して線や文字を微調整(仕上げの仕上げ)をします。
象牙や水牛などでしたら拭き取ったり、洗剤などでさっと洗えば、完全に朱肉を取ることもできるのですが、柘(つげ)は彫刻工程で『墨』を使っていますし、試し捺しの朱肉も少しですが染み込んで取り除くことはできません。
また、水牛や象牙でも仕上がった彫刻面をお客様に確認していただくときに、文字の形を見やすいように墨か朱墨、あるいはほんのわずかな朱肉を印面に付けておいたりします。
彫刻面の底までべたーっと朱肉が残るようなことはしませんが、どうしても必要な工程なので「ちゃんと丁寧に仕上げをしてるんだなぁ」とご理解をいただければと思います。